● 市場の関心は、新株予約権発行をめぐる東京地裁の判断に集中している。差し止め請求が認められれば、形勢はライブドア優勢に逆転する。
6月の株主総会に向けた委任状集め合戦など、長期戦になるとの観測も出ている。このため「争奪戦の様子を見る展開が続きそう」
●10日昼、財務省が9日に受け付けた株式大量保有報告書で、リーマン・ブラザーズがライブドア株を大量に売却していたことが明らかになり、
2月24日発行の2010年満期の海外円建て転換社債型新株予約権付社債(CB)に絡んだ潜在的な株式売り圧力が低下したとみた投資家から買いが入って一時上げ幅を広げ、前日比28円高の356円まで上昇した。
もっとも買い一巡後は伸び悩んでいる。

当初リーマンが堀江社長から借りた約4700万株のほとんどを24日までに返却していたが、3月1日以降、新たに借り入れ、
7日時点での借株数は約3887万株となっていた。7日付で590万株売却するなど、その大半を数回に渡って売却したもよう。
リーマンは現在のところCBは転換しておらず、借株を売却したとみられる。
CBの転換価格は修正条項に基づいて7日付で下方修正され、リーマンのライブドア株の保有株数は潜在株も含めて約2億9600万株となった。

●ライブドアが、ニッポン放送が決定したフジテレビジョンを引受先とする新株予約権の発行差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁民事第八部(鹿子木(かのこぎ)康裁判長)は十一日、「(商法で禁じている)著しく不公正な方法による発行にあたる」として、発行を差し止める決定を出した。ニッポン放送は即日、地裁に異議申し立てを行った。決定では、ライブドアが五億円の担保を供託することを仮処分執行の条件としている。
 会社の株式を一定の価格で取得できる新株予約権は、平成十四年の商法改正で単独発行が可能となった権利だが、訴訟例がなく、初の司法判断が注目されていた。
ニッポン放送が異議を申し立てたことで、今後は地裁での異議審、さらに高裁での抗告審、最高裁での特別抗告審の判断を仰ぐ可能性がある。
 今回の仮処分の審理では、新株予約権の発行が、それぞれ商法で禁じている
(1)著しく有利な条件での発行
(2)著しく不公正な発行−に当たるかどうかが争点となった。

 東京地裁は
(1)について、所定の算定方式で公正な発行価額を算出した上で、「発行価額が公正な発行価額より特に低いなど、明らかに不合理な点は認められない」として、
「著しく有利な条件」での発行には該当しないと判断。ライブドア側の主張を退けた。
 (2)については、「発行は、フジサンケイグループに属する経営陣の支配権維持が目的」と認定した。
 そのうえで、「特定株主の支配権獲得により、企業価値が著しく棄損される場合には、防止のため相当な手段が許される場合があるというべき」との見解を示し、「本件では、ライブドアの支配権取得で、企業価値が著しく棄損されることが明らかとまではいえない」として、発行が「不公正」と結論づけた。
 また、ニッポン放送が、ライブドアが時間外取引で株を大量に取得した行為を証券取引法違反に当たると主張していた点については、「法の規定に違反すると認められない」とした。
 ライブドアは先月二十四日に仮処分を申請。「新株予約権の発行は、フジテレビによるニッポン放送に対する支配権維持を目的にしており、著しく不公正」と主張していた。
 これに対してニッポン放送側は、「フジサンケイグループに残って企業価値の維持・向上を図ることが目的で、今回の経営判断は必要不可欠」と主張していた


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